遺品のお焚き上げは、「相続の確認 → 出せない品の仕分け → サイズ課金の最適化」の3ステップで進めるのが、最短かつ失敗の少ない方法です。
順番が大事です。先に品物を箱に詰めてしまうと、相続放棄ができなくなったり、郵便局で受け取りを断られたり、必要のない料金を払うことになったりします。
この記事では、神社に直接持ち込む場合の1,000円から、仏壇を業者に依頼する場合の25,300円まで、実在するサービスの実額をもとに「あなたの場合はいくら・どこに・どう出すか」を確定できるところまで解説します。
最初にやるべきは箱詰めではなく、「相続放棄を検討していないか」の確認です。財産的価値のある遺品を処分すると、民法921条1号の法定単純承認に当たり、相続放棄ができなくなるおそれがあるとされています。
遺品のお焚き上げ方法は?結論は3ステップ
遺品のお焚き上げは、①相続上の問題がないか確認、②お焚き上げに出せない品を抜く、③持ち込み・郵送・業者の3ルートから費用が最小になる出し方を選ぶ、という順で進めます。
多くの記事は「気持ちの整理」から入りますが、実務では逆です。気持ちの前に、法律と物理的な制約でルートが決まってしまうためです。
全体の流れ(所要期間の目安)
- 相続の確認(1〜2日):相続放棄・限定承認を検討中なら、財産的価値のある品には触れずに専門家へ相談します。
- 仕分け(半日〜数日):通帳・実印・貴金属・権利証・パソコン等を抜き、次に電池内蔵品・引火物・刀剣・剥製など「受け付けてもらえない品」を分けます。
- 受付先の決定(1日):神社への持ち込み、郵送キット、品目単価型の業者から選びます。
- 梱包と申込み(1日):3辺合計サイズで料金が変わるため、詰め方を最適化します。
- 供養・証明書の受領(1〜4週間程度):郵送型は供養日が決まっていることが多く、証明書は後日届きます。
費用のイメージ
| 出し方 | 目安の実額 |
|---|---|
| 神社に少量を持ち込み | 1,000円〜 |
| 段ボール1箱を郵送 | 4,400〜15,400円 |
| 位牌・遺影など品目ごと | 1,100〜8,800円 |
| 仏壇(3辺150〜300cm) | 8,800〜25,300円 |
順番を守るだけで、相続トラブル・返送・払い過ぎの3つを同時に避けられます。まずは相続の確認からです。
そもそも遺品のお焚き上げとは?法律上はどう扱われる?

お焚き上げとは、故人の想いがこもった品を火で浄めて天に還す宗教儀式で、廃棄物処理法の「焼却禁止」の例外として法的に位置づけられた行為です。単なる廃棄との違いはここにあります。
法律上は「例外」として認められている
廃棄物の野外焼却は原則禁止です。埼玉県環境部の解説(2025年)によると、廃棄物処理法施行令第14条は焼却禁止の例外を5類型に限定しており、そのうちの第3号が「風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却」です。お焚き上げやどんど焼きはこの類型に該当するとされています。
市川市清掃事業課の説明(2025年)でも、例外は「公共施設の管理」「災害対応」「風俗慣習上・宗教上の行事」「農林漁業でやむを得ないもの」「たき火等の軽微なもの」の5つに限られると整理されています。
逆に言えば、個人が自宅の庭で遺品を焼くのは原則として違法です。埼玉県の解説によると、違反した場合は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方(法人は3億円以下の罰金)が定められています。「自分でお焚き上げする」という選択肢は、基本的に取れないと考えてください。
なお、消防への「火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為の届出書」を出せば焼けると誤解されがちですが、土浦市消防本部の案内(2025年)では、この届出は焼却行為を許可するものではなく、届出をしても野外焼却が合法になるわけではないと明記されています(届出は原則3日前まで)。
「全部燃やしてもらえる」わけではない
お焚き上げに出した品がすべて燃やされると思われがちですが、実際は違います。郵送型サービスの案内(みんなのお焚き上げ、2026年8月時点の記載)では、不燃物はお祓いのうえで自治体の認可を受けた廃棄業者が処分すると明記されています。
つまり供養証明書は「全量を焼却した証明」ではなく、「供養の儀式を行った証明」です。金属の仏具やガラスの入った額縁などは、火にくべられずに適正処理へ回ります。これは手抜きではなく、法令と環境配慮に沿った通常の運用です。
「どんど焼きに持って行けば無料」という前提も崩れつつあります。灰の飛散や防火、住民理解の問題から、地域のどんど焼き(左義長)を縮小・終了する事例が出ています(2026年1月・神奈川新聞の報道など)。当てにする前に、自治会や主催者に開催の有無を確認してください。
始める前の準備|出してはいけない遺品を先に抜く
準備の核心は「詰める前に抜く」です。相続に関わる品と、受付先が受け取れない品を先に抜いておけば、返送・追加料金・法的トラブルのほとんどを回避できます。
ステップ1:相続に関わる品を抜く
最優先は相続の確認です。民法921条1号では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなされる、と定められています。故人に借金がある可能性があり相続放棄・限定承認を検討中なら、財産的価値のある遺品には手をつけず、まず弁護士・司法書士に相談してください。
抜くべき品の例です。
- 通帳・キャッシュカード・印鑑(特に実印)
- 現金・商品券・金券類
- 貴金属・宝飾品・時計・骨董品
- 不動産の権利証・保険証券・有価証券
- パソコン・スマートフォン(デジタル遺品。データ消去後に自治体回収や小型家電リサイクルへ)
形見分けのつもりで貴金属を持ち帰る行為も、法定単純承認に当たるおそれがあるとされています。判断に迷う品が1つでもあるなら、お焚き上げの申込みより先に専門家への相談を優先してください。
ステップ2:物理的に受け付けてもらえない品を抜く
次に、受付先が受け取れない品を抜きます。実在する受付先の条件を見ると、線引きがはっきりします。
出雲大社埼玉分院のお焚き上げ案内では、位牌、パソコン、家電リサイクル法対象品(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機・乾燥機)、医療機器・器具、危険物、引火物、生き物、遺骨、法令での所持禁止品は受け付けないとされています。「神社なら何でも供養してくれる」わけではない点に注意してください。
業者側にも制限があります。市民のお焚き上げ供養の料金一覧では、薬物・針・医療品は不可、刀は教育委員会・警察署への届出が必要、剥製は希少野生動物であれば登録証の確認が必須、と案内されています。
ステップ3:郵送できるかを確認する
郵送を選ぶ場合、配送側の制約が加わります。ヤマト運輸の公式FAQ(2026年8月時点の記載)によると、個人客から預かった荷物のうちリチウムイオン電池内蔵製品は航空機輸送ができず、電池部分が壊れている・故障したバッテリーが内蔵された製品は取り扱い不可とされています。
日本郵便の公式Q&A(同時点)でも、リチウム電池等を含む内容品は航空機輸送の対象地域宛てだと条件を満たしたものに限られ、条件を満たさない場合は1〜4日程度配達が遅れることがあると案内されています。
遠方の寺社や離島宛てに、故人の携帯音楽プレーヤーやモバイルバッテリーを混ぜて送ると、遅延や返送の原因になります。電池類は抜いて、自治体の回収や家電量販店の回収ボックスへ出してください。
抜く順番は「相続 → 危険物・不可品 → 電池類」の3段です。この3つを抜いた残りが、お焚き上げに出せる品です。
判定チャート|その遺品、お焚き上げに出していい?
ここまでの準備を、5つの質問に整理しました。上から順に答えれば、出せるか・どのルートで出すかが確定します。
Q1. 相続放棄・限定承認を検討していますか?
- はい → 財産的価値のある品には触れず、弁護士・司法書士へ。処分は法定単純承認(民法921条1号)に当たるおそれがあります。ここで一度停止してください。
- いいえ → Q2へ
Q2. 通帳・実印・貴金属・現金・権利証・パソコン/スマホが混ざっていませんか?
- 混ざっている → 抜き取ります。デジタル遺品はデータ消去後に自治体回収・小型家電リサイクルへ。
- 混ざっていない → Q3へ
Q3. 電池内蔵品・モバイルバッテリー・ライター・スプレー缶・医療器具・刀剣・剥製が含まれますか?
- 含まれる → 郵送ルートは使えません。電池・引火物は自治体ルールで処分。刀剣は警察署・教育委員会へ届出。剥製は登録証を確認のうえ、受け入れ可否を個別相談。
- 含まれない → Q4へ
Q4. 位牌・パソコン・家電リサイクル法対象品がありますか?
- ある → その品を受け付ける先を選びます(例:出雲大社埼玉分院は位牌・パソコン・家電リサイクル法対象品を受け付けていません)。位牌は品目単価型の業者(白木位牌1,100円など)が確実です。
- ない → Q5へ
Q5. 品数と3辺合計サイズはどのくらいですか?
- 手のひらサイズ数点 → 神社へ持ち込み(出雲大社埼玉分院:持ち込み1,000円/メール便サイズ郵送1,300円)
- 段ボール1〜3箱 → 郵送キット型、または神社郵送(100サイズ5,000円/150サイズ10,000円/200サイズ15,000円)
- 仏壇・神棚・家財ごと → 品目単価型の業者、または遺品整理業者のオプション供養
Q1で「はい」になった方は、以降のステップに進まないでください。相続放棄の期間は原則として相続開始を知った時から3か月です。お焚き上げより先に、期限のある手続きの相談を済ませてください。
依頼先の比較|遺品のお焚き上げはお寺・神社と業者どちらがいい?
少量で位牌を含まないなら神社への持ち込みが最安(1,000円〜)、位牌や仏壇を含むなら品目単価型の業者、遠方・外出困難なら郵送キット型が向いています。実額で比較します。
3ルートの実額比較表
| 比較項目 | ①神社に直接持ち込み<br>(出雲大社埼玉分院) | ②郵送キット型<br>(みんなのお焚き上げ) | ③品目単価型<br>(市民のお焚き上げ供養) |
|---|---|---|---|
| 費用(実額) | 持ち込み1,000円/メール便サイズ郵送1,300円/100サイズ5,000円/150サイズ10,000円/200サイズ15,000円/祈祷付き12,000円〜 | レターサイズ〜ボックスサイズ(3辺100〜170cm)の段階料金/人形供養パック(3辺200cm) | 白木位牌1,100円/遺影(額付き)3,300円/仏具一式3,850円/人形類8,800円/詰め合わせ3辺40cm 4,400円〜160cm 15,400円/仏壇8,800〜25,300円 |
| 対応サイズ上限 | 200サイズ(45L袋3つ相当) | 人形供養パック 3辺合計200cm(1〜4箱) | 仏壇3辺300cmまで |
| 受け付けない品 | 位牌、パソコン、家電リサイクル法対象品、医療機器、危険物、引火物、生き物、遺骨、所持禁止品 | 配送規約に反する品(電池内蔵品等)。割れ物は郵便局で断られる場合あり | 刀(届出必要)、薬物・針・医療品は不可。剥製は登録証確認 |
| 供養証明書 | 神社での祈祷・供養に対応 | 料金に発行を内包 | 対応あり(申込時に要確認) |
| 所要日数 | 持ち込み当日受付 | 申込→キット到着→発送→供養→証明書で数週間 | 発送・引取後に供養 |
| 立会いの可否 | 祈祷付きプランで可能 | 不可(郵送のみ) | プランにより異なる |
| 向いているケース | 近隣に住み、少量を安く確実に出したい | 遠方・多忙・外出が難しい | 位牌・仏壇・神棚など大物や特定品目がある |
※料金は各サービスの2026年8月時点の公開情報にもとづく参考値です。申込前に必ず最新の料金と条件をご確認ください。
郵送キット型の中身と注意点
郵送キット型は、キットの送料・神社への配送料・供養証明書の発行・不燃物の処理費が料金に内包されているのが特徴です(みんなのお焚き上げ、2026年8月時点の案内)。個別に送料や処分費を払う必要がない分、見た目の単価は高くても総額では割安になることがあります。
一方で制約もあります。人形供養パックは沖縄県・島嶼部が対象外とされており、割れ物は郵便局の窓口で引受を断られる場合があります。ガラスケース入りの人形や陶器の骨壺カバーなどは、事前に受付先へ相談してください。
遺品整理業者のオプション供養を選ぶ場合
遺品整理とお焚き上げをまとめて頼めるのが利点ですが、料金トラブルが最も起きやすいルートでもあります。
国民生活センターは2018年7月19日の報道発表「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」で、遺品整理サービスに関する相談が2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件と継続して寄せられ、見積もり外の追加請求・高額なキャンセル料・遺品の不適切な処分などのトラブルがあると注意を呼びかけています。
見積書では次の4点を必ず文書で確認してください。
- 供養費が別料金か込みか(「供養サービス付き」の表記だけでは判断できません)
- 追加料金が発生する条件(品数超過・階段作業・当日追加など)
- キャンセル料の発生時期と金額
- 供養証明書の発行有無と、不燃物の処理方法
業者選びの目安として、一般財団法人遺品整理士認定協会の遺品整理士資格があります。同協会によると会員数は2024年6月3日に60,000名を突破し、養成講座(2011年11月開講)では廃棄物処理の法令知識等が認定内容に含まれています。資格の有無だけで安全とは言い切れませんが、法令知識の担保として確認する価値はあります。
「安いから神社、楽だから郵送」ではなく「位牌があるか」で先に絞ると迷いません。位牌を受け付けない受付先は珍しくないためです。
費用シミュレーション|まとめる・分けるで6,050円変わる
同じ品でも、品目ごとに出すか1箱にまとめるかで6,050円の差が出ます。品目単価と、3辺合計で決まる段階料金のどちらが安いかを比べるのが、費用を抑える唯一の方法です。
ケースA:位牌・遺影・仏具・人形を出す
市民のお焚き上げ供養の料金一覧をもとに計算します。
品目単価で出した場合
| 品目 | 単価 |
|---|---|
| 白木位牌・過去帳等 | 1,100円 |
| 遺影写真(額付き) | 3,300円 |
| 仏具一式 | 3,850円 |
| 人形類 | 8,800円 |
| 合計 | 17,050円 |
1箱にまとめた場合
同じ品を1箱に収め、3辺合計100cm以下に収まれば11,000円です。差額は6,050円。まとめたほうが安くなります。
ケースB:人形が多くて箱が大きくなる
ただし、まとめれば必ず安いわけではありません。人形類が増えて箱が3辺合計160cmになると、詰め合わせ料金は15,400円です。品目単価の合計次第では、削減幅がほとんど消えます。
サイズ段階料金は以下のとおりです(同・料金一覧)。
| 3辺合計 | 料金 |
|---|---|
| 40cm以下 | 4,400円 |
| 50cm以下 | 6,600円 |
| 80cm以下 | 8,800円 |
| 100cm以下 | 11,000円 |
| 140cm以下 | 13,200円 |
| 160cm以下 | 15,400円 |
梱包の最適化で1段階下げる
ここで効いてくるのが、準備段階の「抜く」作業です。不燃物や電池内蔵品を抜いて箱が140cm以下から100cm以下に下がれば、13,200円→11,000円で2,200円の削減になります。抜いた品は自治体の分別ルールで処分すればよく、そちらは基本的に無料か少額です。
神社持ち込みとのトレードオフ
近隣の神社に持ち込めば、同程度の量が100サイズ5,000円で済む可能性があります(出雲大社埼玉分院)。ただし同院は位牌を受け付けていません。
つまり選択はこうなります。
- 位牌を含む → 品目単価型・詰め合わせ(11,000円前後)
- 位牌を除ける → 神社持ち込み(5,000円)+位牌のみ別途(1,100円)で、合計6,100円という組み合わせも成立
仏壇・神棚は別枠です。仏壇は3辺150cm以下8,800円、250cm以下14,300円、280cm以下19,800円、300cm以下25,300円。神棚は3辺100cm以下8,800円、150cm以下11,000円とされています(市民のお焚き上げ供養)。仏壇を出す場合は、閉眼供養(魂抜き)のお布施5,000〜10,000円程度(小さなお葬式の目安)が別途かかることも見込んでおきます。
「まず抜く → 箱を1段階小さくする → 品目単価と詰め合わせを比べる」。この3手で、多くのケースは数千円下がります。
つまずきやすいポイントと対処法
実際につまずくのは、「郵便局で断られる」「位牌を受け付けてもらえない」「見積もりより高くなる」の3つです。それぞれ対処法があります。
郵送しようとしたら受け付けてもらえない
原因のほとんどは電池と割れ物です。ヤマト運輸の公式FAQ(2026年8月時点)では、個人差出のリチウムイオン電池内蔵製品は航空機輸送不可、故障・破損したバッテリー内蔵製品は取り扱い不可とされています。日本郵便の公式Q&A(同時点)でも、条件を満たさない場合は1〜4日程度の遅延が生じうると案内されています。
対処法:故人の携帯機器・電動製品は電池を抜くか、その品自体を郵送対象から外します。ガラスケース入り人形などの割れ物は、事前に受付先へ相談してください。
位牌やパソコンが対象外だった
出雲大社埼玉分院のように、位牌・パソコン・家電リサイクル法対象品を受け付けない神社があります。
対処法:位牌は白木位牌1,100円で受け付ける品目単価型の業者へ。パソコンはデータ消去のうえ、メーカー回収や小型家電リサイクルへ回します。1か所で完結させようとせず、ルートを分けるほうが早くて安いケースが多くあります。
見積もりより高額になった
国民生活センターの2018年報道発表では、見積もり外の追加請求や高額キャンセル料の相談が報告されています(2016年度114件など)。
対処法:訪問見積もりは複数社から取り、供養費・追加条件・キャンセル料を必ず書面で受け取ります。当日その場で契約せず、一度持ち帰って比較してください。
遠方の実家の遺品整理でお焚き上げしたい
「遺品整理お焚き上げ」をまとめて頼みたい場合、現地業者に一括依頼するか、供養対象だけを自宅に送って郵送型に出すかの二択です。
対処法:家財の量が多く現地に何度も行けないなら一括依頼、供養したい品が段ボール1〜2箱なら郵送型が割安です。数箱程度なら、家財の処分と供養を分けるほうが総額を抑えやすくなります。
遠方の場合でも、Q1(相続の確認)を飛ばさないでください。実家に不動産や借金がある場合、家財の処分が法定単純承認とみなされるおそれがあるとされています。
効率化・応用のコツ|宗派・ペット遺品・東京での探し方
効率化の要点は「宗派に合わせた呼び方をする」「ペット遺品はペット霊園に回す」「地域は受付条件で絞る」の3つです。
浄土真宗では「魂抜き」と言わない
仏壇や位牌を処分する際、一般に「魂抜き(閉眼供養)」を依頼します。ただし浄土真宗では、教義上いわゆる「魂」を抜くという考え方を取らず、遷座(遷仏)法要と呼ばれるのが一般的とされています。
菩提寺に依頼する際は、宗派を先に伝えて呼び方を確認するとスムーズです。作法や必要な準備が変わることがあります。お布施の目安は5,000〜10,000円程度とされていますが(小さなお葬式)、地域と寺院により幅があるため、直接うかがうのが確実です。
ペット遺品のお焚き上げはペット霊園が実務的
首輪・食器・おもちゃ・写真といったペットの遺品は、人の遺品と同じ受付先に混ぜるより、ペット霊園やペット供養の枠で扱ってもらうほうが実務的です。ペットの合同供養や納骨と一緒に依頼できることが多く、動線が一本にまとまります。
郵送型サービスでも、ペット用品を受け付けている場合があります。ただしプラスチック製品や金属製の食器は不燃物として分別処理される点は、人の遺品と同じです。
ペットの遺骨は、多くの神社・お焚き上げ業者で受け付けていません。出雲大社埼玉分院も遺骨は対象外としています。遺骨はペット霊園・納骨堂へ相談してください。
東京で遺品のお焚き上げ先を探すときの絞り込み
「遺品 お焚き上げ 東京」で探す場合、件数が多すぎて選べないのが実情です。次の4条件で絞ると早く決まります。
- 位牌・仏壇を受け付けるか(最も分かれる条件)
- 持ち込み可能な時間帯と予約要否(例:出雲大社埼玉分院は9:00〜17:00・年中無休・予約不要と案内)
- 供養証明書の発行有無
- 不燃物の処理方法を明記しているか(明記があるほど運用が誠実な傾向)
都内在住でも、郵送型なら受付先の所在地は関係ありません。近隣にこだわらず、条件で選ぶのが結果的に早道です。
「宗派 → 対象(人・ペット)→ 受付条件」の順で絞れば、候補は数件まで減ります。地域名で探すのは最後で十分です。
注意点・リスク|相続・トラブル・時期の落とし穴
最大のリスクは相続放棄ができなくなること、次いで悪質業者との契約、そして「どんど焼き前提」の計画倒れです。
相続の分岐は取り返しがつかない
民法921条1号では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなされるとされています。故人に負債がある可能性がある場合、遺品の処分・持ち帰りは相続放棄の権利を失わせるおそれがあります。
一度単純承認とみなされると、原則としてやり直しはできません。「思い出の品だけだから大丈夫」と自己判断せず、負債の有無が不明な段階では手を止めてください。
お焚き上げは急ぐ必要のない手続きです。一方、相続放棄の申述には原則3か月の期限があります。期限のあるほうを先に片付けるのが鉄則です。
契約トラブルを避ける
国民生活センターの報道発表(2018年7月19日)によると、遺品整理サービスの相談は2013年度73件から2017年度105件まで継続して寄せられ、2016年度は114件でした。金額の大きい依頼ほど、書面での確認が重要になります。
時期の前提が変わっている
お焚き上げの時期は、四十九日・一周忌・遺品整理のタイミングが目安とされ、1月15日前後のどんど焼きに合わせる方も多くいました。ただし前述のとおり、灰の飛散や防火の問題で地域のどんど焼きが縮小・終了する事例が出ています(2026年1月・神奈川新聞の報道など)。
開催が確認できない場合に備え、通年で受け付けている神社や郵送型サービスを代替案として用意しておくと安心です。
需要は増えている
厚生労働省の人口動態統計速報(令和7年12月分・2026年2月公表)によると、2025年の死亡数は1,605,654人、出生数は705,809人で、自然増減はマイナス899,845人でした。遺品整理・お焚き上げの需要は構造的に拡大しており、繁忙期には予約が取りにくくなることも想定されます。時間に余裕をもって動いてください。
相続の確認を最優先、契約は書面で、時期は当てにしない。この3つでリスクの大半は避けられます。
具体例・ケーススタディ
実際の判断がどう分かれるか、3つのケースで確認します。同じ「遺品のお焚き上げ」でも、最適解は品目と状況で変わります。
ケース1:母の遺品を少量、近所の神社へ
状況:写真・手紙・お守り・衣類が45L袋1つ分。位牌はまだ仏壇に安置。相続は単純承認で確定済み。
判断:位牌を含まないため、神社への持ち込みが最安です。出雲大社埼玉分院の料金では持ち込み1,000円、100サイズ(45L袋1つ相当)で5,000円。手のひらサイズまで絞れれば1,000円で済みます。
ポイント:衣類の金具やアルバムの金属リングは不燃物として分別処理されます。事前に外しておくと箱が小さくなり、料金段階が下がることもあります。
ケース2:仏壇じまいで位牌・遺影・仏具をまとめて
状況:実家の仏壇(3辺合計140cm)を処分。白木位牌、額入り遺影、仏具一式、母が大切にしていた人形が対象。浄土真宗。
判断:仏壇は3辺150cm以下で8,800円。位牌・遺影・仏具・人形は1箱にまとめて3辺100cm以下なら11,000円(品目単価合計17,050円より6,050円安い)。合計19,800円が目安です。
さらに、仏壇の閉眼供養(浄土真宗では遷座法要と呼ばれるのが一般的)のお布施が5,000〜10,000円程度。菩提寺がある場合は、まず菩提寺に相談してください。
ポイント:人形が大きくて箱が160cmを超えると15,400円になり、削減幅が縮みます。人形だけ品目単価8,800円で別出しし、残りを80cm以下8,800円に収める組み合わせと比較してください。
ケース3:借金の有無が不明な父の遺品
状況:父が亡くなり、消費者金融からの郵便物を発見。遺品には腕時計と印鑑、通帳が含まれる。
判断:お焚き上げの手配を停止します。腕時計や貴金属は財産的価値があり、処分・持ち帰りは民法921条1号の法定単純承認に当たるおそれがあるとされています。まず弁護士・司法書士に相談し、負債の調査と相続放棄の可否を確認してください。
ポイント:供養したい気持ちがあっても、期限のある手続きが先です。相続の方針が決まってから、改めてケース1・2の手順に戻れば問題ありません。
3つのケースの金額はいずれも2026年8月時点の公開料金にもとづく試算です。実際の費用は品数・サイズ・地域・受付先の規定により変わります。必ず見積もりで確認してください。
よくある質問
遺品供養とお焚き上げは何が違うのですか?
遺品供養は品物に感謝と祈りを捧げる行為全般を指し、お焚き上げはその方法の一つで、火で浄めて天に還す儀式です。「遺品供養 お焚き上げ」と併記されるのはこのためです。供養の方法にはほかに、僧侶による読経のみを行う合同供養などもあります。実務上はほぼ同義に使われているため、依頼時は「火にくべてもらえるのか」「不燃物はどう処理されるのか」を具体的に確認するのが確実です。
遺品のお焚き上げはお寺と神社どちらに頼むべきですか?
仏具・位牌・仏壇は寺院、お守り・お札・神棚は神社が基本ですが、どちらでも受け付けている場合が多くあります。決め手は宗派より受付品目の条件です。たとえば出雲大社埼玉分院は位牌を受け付けていません。菩提寺がある場合は、まず菩提寺に相談するのが最もスムーズです。特定の宗派に属していないなら、位牌・仏壇を扱う専門業者を選ぶと1か所で完結します。
自分で庭でお焚き上げをしてもいいですか?
原則として避けてください。廃棄物の野外焼却は法律で禁止されており、埼玉県環境部の解説(2025年)によると違反は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)とされています。宗教行事としてのお焚き上げは施行令第14条第3号の例外にあたるものの、個人が自宅で行う行為がこの例外に該当するかは慎重な判断が必要です。神社・寺院・専門業者に依頼してください。
ペットの遺品もお焚き上げできますか?
できます。首輪・食器・おもちゃ・写真などは、ペット霊園やペット供養の枠で受け付けているところが多く、そちらのほうが実務的です。一般のお焚き上げサービスでも受け付ける場合がありますが、プラスチックや金属の食器は不燃物として分別処理されます。ペットの遺骨は多くの受付先で対象外のため、ペット霊園・納骨堂に相談してください。
供養証明書があれば全部燃やしてもらえたということですか?
いいえ。供養証明書は「供養の儀式を行った証明」であり、全量を焼却した証明ではありません。郵送型サービスの案内(みんなのお焚き上げ、2026年8月時点)でも、不燃物はお祓いのうえで自治体の認可を受けた廃棄業者が処分すると明記されています。金属・ガラス・プラスチックが適正処理に回るのは通常の運用であり、供養の効果が損なわれるものではないとされています。
まとめ
遺品のお焚き上げは、次の順で進めれば迷いません。
- 相続の確認:相続放棄・限定承認を検討中なら、財産的価値のある品には触れず専門家へ。
- 抜く:貴重品 → 危険物・受付不可品 → 電池内蔵品の順に取り除く。
- ルートを選ぶ:少量なら神社持ち込み(1,000円〜)、遠方なら郵送キット型、位牌・仏壇があるなら品目単価型。
- 費用を最適化:品目単価の合計と詰め合わせ料金を比較し、箱のサイズを1段階下げる。
供養は気持ちの問題ですが、その手前には法律と物理的な制約があります。順番を守ることが、故人の品を大切に送り出す一番の近道です。
本記事は公開情報にもとづく一般的な解説です。相続に関わる判断は弁護士・司法書士へ、税務は税理士へ、宗教上の作法は菩提寺・神社へご相談ください。料金・受付条件は変更される場合があるため、申込前に各サービスの最新情報をご確認ください。
最終確認日:2026年8月3日




