- 1回目:体調や暮らしの雑談だけ(その場でメモを取らない)
- 2回目:通帳・保険・スマホのパスワードの「しまってある場所」だけ聞く
- 3回目:医療・介護と葬儀の希望を、人生会議の資料を見ながら話す
この記事は、公的調査・民間調査・法令情報をもとにした一般的な情報です。取材や体験談ではありません。3回に分ける進め方は、調査結果をもとに編集部が組み立てた目安で、効果を検証したものではありません。相続・遺言・医療のことを決めるときは、専門家に相談してください。
親に終活をどう切り出す?まず何をすべきか結論から
最初のひと言は「自分の話」か「近況」から
- 自分の話から:「実は私もエンディングノートを書いてみたんだ。意外と迷うところがあってさ」
- 近況から:「最近、体の調子はどう? 病院には続けて通ってる?」
- 親の経験から:「おじいちゃんを見送ったとき、何がいちばん大変だった?」
1回で全部聞こうとしない
親と終活の話し合いが進まないのはなぜ?主な原因を深掘り

原因1:話すきっかけがない
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 話し合うきっかけがなかったから | 62.8% |
| 知識が無いため、何を話し合っていいか分からないから | 31.0% |
| 話し合う必要性を感じていないから | 21.8% |
| 話し合いたくないから | 2.1% |
原因2:何を話せばいいかわからない
原因3:親も子も「言い出しにくい」と感じている
- 親世代:「タイミングがわからない」47.5%、「重い話と思われそうで言いにくい」30.5%
- 子世代:「切り出しにくい」33.7%、「何を話せばよいかわからない」30.5%
厚労省の数値は20歳以上の一般国民全体の回答で、親世代だけの数字ではありません。燦ホールディングスはインターネット調査です。ハルメクの調査方法は、公開記事の範囲では確認できませんでした。3つの調査は対象・時期・質問がそれぞれ異なるため、数字を直接比べることはできません。
原因別の見分け方:どの話題から切り出すか診断チャート
4つの質問で最初の話題を選ぶ
- Q1. 親は一人暮らし?
- 一人暮らし → Q2へ
- 同居・近居 → Q2へ
- Q2. 持病や通院がある?
- ある → タイプA
- 元気 → Q1が一人暮らしならQ3へ、同居・近居ならQ4へ
- Q3. あなたにきょうだいはいる?
- いない → タイプD
- いる → Q4へ
- Q4. 親の側から、終活や年賀状じまいの話が出たことがある?
- ある → タイプB
- ない → タイプC
タイプ別の最初のひと言とNGワード
| タイプ | 最初の話題 | 最初のひと言の例 | 避けたいNGワード |
|---|---|---|---|
| A | 医療・介護の希望(人生会議) | 「この前の通院、先生なんて言ってた? 入院するときに困らないよう、希望を聞いておきたいな」 | 「死んだら」「延命はいらないよね?」 |
| B | お金・口座の場所 | 「年賀状じまいしたって言ってたよね。通帳とかも、しまってる場所だけ教えてもらえる?」 | 「遺産」「全部でいくらある?」 |
| C | 自分の終活の報告 | 「実は私もエンディングノートを書き始めたんだ。一緒に書いてみない?」 | 「そろそろ準備しなよ」「もう年なんだから」 |
| D | 地域の相談窓口・緊急連絡先 | 「近くで何かあったとき、誰に連絡すればいいか一緒に確かめておかない?」 | 「一人で死んだら」「孤独死」 |
このチャートとNGワードは、調査結果をもとに編集部が作った目安です。効果を検証したものではありません。親の性格や体調に合わせて調整してください。
具体的な解決方法:話題別比較表と3回に分ける帰省会話プラン
親に聞いておくこと:話題別の切り出しやすさ比較表
| 話題 | 親の抵抗感(目安) | 後回しにしたときの困りごと(例) | 使えるきっかけ | 切り出しの例文 | 記録先 |
|---|---|---|---|---|---|
| 医療・延命の希望 | 中〜高 | 急な入院のとき、家族が本人の気持ちを推測して決めることになる | 通院・健康診断・知人の入院 | 「もし入院が長くなったら、どんなふうに過ごしたい?」 | 人生会議メモ |
| 介護の希望 | 中 | 自宅か施設かで、きょうだいの意見が分かれやすい | 通院・知人の介護の話 | 「家事がつらくなったら、どこで暮らしたい?」 | 人生会議メモ |
| 口座・保険の場所 | 低〜中 | 口座や保険の存在がわからず、手続きが遅れる | 年賀状じまい・片付け | 「通帳や保険証券、しまってる場所だけ教えて」 | エンディングノート |
| 葬儀 | 高 | 希望がわからないまま、短い時間で形や規模を決めることになる | 法事・知人の葬儀 | 「〇〇さんのお葬式、どうだった?」 | エンディングノート |
| お墓 | 中〜高 | お墓を継ぐか、墓じまいするかの判断が子に残る | お盆・お彼岸の墓参り | 「このお墓、これからどうしたいとか考えてる?」 | エンディングノート |
| 遺言・相続 | 高 | 遺言がないと、遺産の分け方を相続人同士で話し合うことになる | デジタル遺言の法改正ニュース | 「遺言をパソコンで作れる制度ができるんだって」 | 遺言書(法務局の保管制度) |
| デジタル遺品 | 低 | スマホが開けず、連絡先や月額サービスの契約がわからない | 機種変更・スマホ教室 | 「もしものとき、家族がスマホを開けるようにしておく?」 | エンディングノート(パスワードは保管場所だけ) |
| 実家・家財 | 中 | 片付けや空き家の管理が子の負担になる | 帰省中の片付け・大掃除 | 「この押し入れ、一緒に片付けようか」 | エンディングノート |
1回目:雑談30分で「3つだけ」聞く
- [ ] 体調:「最近、体の調子はどう?」
- [ ] 困りごと:「最近ちょっと面倒になったことってある?」
- [ ] 大事にしていること:「これからも続けたいことって何?」
- [ ] 質問の型:「はい・いいえ」で終わらない聞き方にした
- [ ] 話が止まったとき:「また今度聞かせてね」で終えた
- [ ] きょうだいへの共有:「元気そうだった」「〇〇が面倒らしい」くらいを伝えた
2回目:通帳・保険・スマホは「場所」だけ聞く
- [ ] 通帳・印鑑をしまってある場所
- [ ] 保険証券をしまってある場所
- [ ] スマホのパスワードを書いたメモの場所(パスワードそのものは聞かない)
- [ ] 質問の型:「もし入院したら、私は何を持っていけばいい?」と聞いた
- [ ] 話が止まったとき:「場所だけわかれば十分だよ」と引いた
- [ ] きょうだいへの共有:場所の情報はグループチャットに書かず、口頭で伝えた
3回目:人生会議の資料を見ながら、医療・介護と葬儀を話す
- [ ] 厚生労働省が公開している人生会議のリーフレットを、印刷するかスマホで開いておいた
- [ ] 医療・介護の希望(どこで、どう過ごしたいか)
- [ ] 代わりに決めてほしい人は誰か
- [ ] 葬儀の希望(規模・呼びたい人)
- [ ] 質問の型:「いちばん大事にしたいことは?」と聞いた
- [ ] 話が止まったとき:「気持ちは変わってもいいからね」と伝えた
- [ ] きょうだいへの共有:話した内容をまとめ、親に見せてから共有した
ケース別の対処:親が嫌がる・一人暮らし・きょうだいが遠方
親が終活を嫌がるときは?
- 「終活」を「もしものときの準備」「暮らしの整理」と言いかえる
- 親に経験を話してもらう:「おばあちゃんのとき、何が困った?」
- 一度断られたら、しばらく時間をあける
- 「あなたのため」ではなく「私が困らないように教えて」と頼む
親が一人暮らしの場合
きょうだいが遠方・いない場合
- 近くに住む人:日常の会話で少しずつ聞く
- 遠くに住む人:帰省のときに3回目の話し合いに参加する、記録を整理する
- きょうだいがいない人:記録をエンディングノート1冊にまとめ、地域の窓口も確かめておく
認知症などで判断する力が低下すると、本人の意思を確かめながら手続きを進めることが難しくなる場合があります。気になる症状があれば、早めにかかりつけ医や専門家に相談してください。
予防・再発防止のコツ:話し合いを一度で終わらせない
続けるための4つの工夫
- 記録先を1つに決める:エンディングノート1冊にまとめる
- 見直す日を決める:誕生日・正月・お盆など
- 子も自分の終活を話す:親だけに聞くと、親は「尋問」のように感じることがあります
- 親の答えを否定しない:「そうなんだ」とまず受け止める
専門家・公的情報の見解:人生会議と2026年の制度改正
人生会議とは?家族で話し合うときの進め方
人生会議(ACP)とは、もしものときのために、望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みです。(厚生労働省の説明を要約)
- 本人が大事にしていることを聞く
- もしものとき、代わりに考えてほしい人を決める
- かかりつけ医など医療・ケアの専門職にも伝える
- 話した内容を書き残し、家族で共有する
2026年のデジタル遺言(保管証書遺言)
身寄りのない高齢者向けの支援の制度化
施行前の制度は、細かい内容や始まる時期が政令などで決まります。使う前に、法務省・厚生労働省・お住まいの自治体の最新情報を確認してください。
やってはいけないNG対応
| NG対応 | 避けたい理由 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 「死んだら」「遺産」から入る | 親が「早く死ぬと思われている」と受け取ることがある | 暮らしや体調の話から入る |
| 残高や金額を聞く | 財産をあてにしていると思われやすい | しまってある場所だけ聞く |
| 1回目から親の前でメモを取る | 取り調べのような雰囲気になる | 帰り道に自分だけで記録する |
| きょうだいに相談せず決める | あとでもめるもとになる | 話した内容をその都度共有する |
| 延命などの答えを誘導する | 本人の本当の気持ちが聞けない | 「どう過ごしたい?」と開いた形で聞く |
| パスワードを聞いてチャットに書く | 情報がもれるおそれがある | 書いたメモの保管場所だけ共有する |
| 1回で全部決めようとする | 親が疲れて、次の会話がしにくくなる | 3回に分ける |
「答えを決めること」よりも、親が自分の言葉で話せることを大事にしてください。誘導して決めた希望は、あとで家族が迷う原因になりかねません。
まとめ:次の帰省は最初の30分の雑談から
よくある質問
親に終活を切り出すタイミングはいつがいい?
親が終活の話を嫌がったらどうすればいい?
親に聞いておくことで、最初に聞くべきことは?
人生会議は家族だけで話し合ってもいい?
遺言はもうパソコンで作れる?
制度や手数料は変わることがあります。手続きの前に、法務省・厚生労働省・自治体の公式情報を確認してください。
- 厚生労働省「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」結果(調査期間2022年11月22日〜2023年1月21日、一般国民は20歳以上から層化2段階無作為抽出、郵送またはWeb回答/2023年6月2日 第99回社会保障審議会医療部会資料2)https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001235008.pdf
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/saisyuiryo_a.html
- 厚生労働省「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?」https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html
- 厚生労働省 人生会議リーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000536088.pdf
- 厚生労働省「地域包括支援センターについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
- 燦ホールディングス「親と子の終活・葬儀に関するコミュニケーションの実態調査」(インターネット調査、親世代2025年7月29日・子世代7月28日実施、各300名、2025年8月13日公表)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000146686.html
- ハルメク・エイジマーケティング 生きかた上手研究所 終活調査(調査期間2025年2月14〜17日、2026年4月23日公開)https://biz.halmek.co.jp/column/tag/shukatsu/20260414-endlifereport.html
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度」https://www.moj.go.jp/MINJI/09.html
- 法務省民事局「民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)」概要資料 https://www.moj.go.jp/content/001465481.pdf
- 厚生労働省老健局「社会福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」(2026年6月29日)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001715733.pdf
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(令和6年推計)」https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/hprj2024_gaiyo_20240412.pdf
最終確認日:2026年10月30日




