遺族年金の手続きは、「①受給できる種類の確認 → ②必要書類集め → ③年金請求書の提出」という流れで進めます。会社員・公務員だった方の遺族なら「年金事務所」、自営業など国民年金だけに加入していた方の遺族なら「市区町村の年金窓口」が主な提出先です。時効は原則5年とされていますが、書類がそろい次第、早めに申請するのが安心です。初めての方でも迷わないよう、必要書類・5つのステップ・つまずきやすい点まで順番に解説します。
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、故人がどの制度に入っていたかで手続き先も金額も変わります。まずは種類の確認から始めましょう。
遺族年金の手続きはどう進める?全体の流れ
遺族年金の手続きは、故人の加入制度を確認し、必要書類をそろえて「年金請求書」を窓口に提出するのが基本です。申請から受給開始までは、おおむね1〜2か月かかるとされています。
全体像を先につかむと、その後の準備がスムーズです。大まかな流れは次のとおりです。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 1 | 受給できる遺族年金の種類を確認 | 死亡後すぐ |
| 2 | 必要書類を集める | 1〜3週間 |
| 3 | 「年金請求書」に記入 | 1日 |
| 4 | 窓口へ提出 | 1日 |
| 5 | 審査・年金証書の受け取り | 約1〜2か月 |
提出後に「年金証書・決定通知書」が届き、その約1〜2か月後に初回の年金が振り込まれます。年金は原則、偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に前2か月分がまとめて支払われるとされています(日本年金機構)。
手続きが不安な場合は、「ねんきんダイヤル」や最寄りの年金事務所で事前予約のうえ相談できます。書類の抜け漏れを窓口で確認してもらえます。
そもそも遺族年金とは?2種類の違いをやさしく解説

遺族年金とは、公的年金の加入者(または受給者)が亡くなったとき、その方に生計を維持されていた遺族に支給される年金で、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があるとされています(日本年金機構)。どちらを受け取れるかは、故人の加入制度と遺族の状況で決まります。
遺族基礎年金とは
遺族基礎年金は、「子のある配偶者」または「子」が対象の、国民年金からの給付です。ここでいう「子」は、18歳になった年度の3月31日まで(障害等級1・2級の場合は20歳未満)の子を指すとされています。
日本年金機構によると、令和7年度の遺族基礎年金は年額 約831,700円で、これに子の加算が付きます。加算額は第1子・第2子が各約239,300円、第3子以降が各約79,800円とされています(金額は毎年度改定されます)。
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金に加入していた方が亡くなったときに支給され、子のない配偶者も対象になる点が特徴です。金額は、故人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3が目安とされています。
さらに、子のない妻が40歳〜65歳のあいだ一定要件を満たすと、「中高齢寡婦加算」(令和7年度で年額 約623,800円)が上乗せされる場合があるとされています。
会社員だった方の遺族は、「遺族基礎年金+遺族厚生年金」の両方を受け取れるケースがあります。自営業(国民年金のみ)の方の遺族は、原則として遺族基礎年金だけになります。
手続きを始める前の準備・必要なものは?
準備するのは、故人と請求者の基礎年金番号、戸籍謄本、住民票、請求者の収入証明、受取口座の通帳、マイナンバーなどです。死亡日以降に取得した書類が求められる場合があるため、取得のタイミングにも注意しましょう。
主な必要書類は次のとおりです。ケースにより追加・省略される場合があります。
| 書類 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 年金請求書 | 様式第105号など。窓口や日本年金機構サイトで入手 |
| 基礎年金番号がわかるもの | 故人・請求者の年金手帳や基礎年金番号通知書 |
| 戸籍謄本(全部事項証明) | 死亡日以降・6か月以内に取得したもの |
| 世帯全員の住民票の写し | 続柄・マイナンバー記載のもの |
| 故人の住民票(除票) | 死亡の事実を確認 |
| 請求者の収入証明 | 所得証明書・課税証明書など(生計維持の確認) |
| 子の在学証明書など | 18歳年度末以降も在学中の場合 |
| 受取先金融機関の通帳 | 請求者本人名義。コピーで可の場合あり |
| マイナンバー | 一部書類の省略に利用できる場合あり |
マイナンバーを記入すると、住民票などの添付を省略できる場合があります。何が省けるかは窓口で確認すると、取り寄せる書類を減らせます。
手続きを順番に詳しく解説【5ステップ】
手続きは①種類の確認 → ②書類集め → ③年金請求書の記入 → ④窓口へ提出 → ⑤審査・受給の5ステップで進みます。提出先は制度によって異なるため、ステップ1の確認が特に重要です。
- 受給できる遺族年金の種類を確認する:故人が会社員・公務員(厚生年金)だったか、自営業など(国民年金のみ)だったかを確認します。厚生年金なら遺族厚生年金、国民年金のみなら遺族基礎年金が中心です。
- 必要書類を集める:戸籍謄本・住民票・収入証明などを取り寄せます。役所での取得は郵送でも可能な場合があります。
- 「年金請求書」を入手して記入する:様式は窓口や日本年金機構のサイトで入手できます。記入例を見ながら、基礎年金番号や口座情報を正確に書きます。
- 窓口に提出する:遺族厚生年金を含む場合は「年金事務所」または「街角の年金相談センター」、遺族基礎年金のみの場合は「市区町村の年金窓口」へ提出します。
- 審査を待ち、年金証書を受け取る:約1〜2か月後に「年金証書・決定通知書」が届き、その後に初回の年金が振り込まれます。
遺族年金とは別に、亡くなった月分までの「未支給年金」を請求できる場合があります。手続き漏れが起きやすいので、窓口で同時に確認しましょう。
つまずきやすいポイントと対処法
つまずきやすいのは、「生計維持の要件」「提出先の間違い」「書類の取得時期」の3点です。事前に押さえておくと、窓口での差し戻しを防げます。
- 生計維持要件:請求者の前年の収入が850万円未満(または所得655万5千円未満)であることが目安とされています。共働きでも一定額までは対象になり得ます。
- 提出先の取り違え:遺族厚生年金を含むのに市区町村へ出すと二度手間になります。迷ったら年金事務所に電話で確認しましょう。
- 戸籍謄本の取得時期:「死亡日以降」に取得したものが必要です。死亡前に取った古い謄本は使えないことがあります。
- 子の年齢:遺族基礎年金は子が18歳年度末を過ぎると原則対象外です。誕生日ではなく「年度末」で判定される点に注意します。
国民年金のみの方で遺族基礎年金の対象にならない場合でも、「寡婦年金」や「死亡一時金」を受け取れる可能性があります。どちらか一方の選択となる点にも注意が必要です。
手続きを効率化・スムーズに進めるコツ
効率化のコツは、「先に電話で確認」「必要書類のチェックリスト化」「マイナンバー活用」の3つです。準備の段階でひと工夫すると、窓口の往復回数を減らせます。
- 年金事務所は予約制の相談枠があり、待ち時間を短縮できます。「ねんきんダイヤル」で予約すると当日の案内が早くなります。
- 書類は一覧表(チェックリスト)にして、取得済み・未取得を管理すると抜け漏れを防げます。
- 戸籍や住民票は、複数の手続き(未支給年金・銀行の名義変更など)で使うため、必要枚数を最初にまとめて取得すると効率的です。
- 記入に迷う項目は空欄のまま持参し、窓口で確認しながら仕上げる方法もあります。
死亡に伴う手続きは遺族年金だけではありません。健康保険・世帯主変更・相続などとまとめてスケジュール化すると、書類の使い回しができて負担が軽くなります。
注意点・リスク(時効・再婚・所得制限)
最大の注意点は、「時効は原則5年」「再婚などで受給権が消滅する」ことです。受け取れるはずの年金を取り逃さないよう、要件の変化にも気を配りましょう。
- 時効:遺族年金は、受給権が発生した日の翌日から5年で時効になるとされています。5年を過ぎた分は原則さかのぼって受け取れません。
- 再婚・事実婚:受給者が再婚したり事実婚状態になると、受給権が消滅するとされています。届け出が必要です。
- 子のない30歳未満の妻:遺族厚生年金が5年間の有期給付になる場合があるとされています。
- 他の年金との調整:65歳以降、自分の老齢年金との併給で金額が調整される場合があります。
- 税金:遺族年金は原則として非課税とされています(所得税・住民税の対象外)。
制度や金額は法改正・年度改定で変わることがあります。個別の受給可否や正確な金額は、必ず日本年金機構や年金事務所、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
具体例・ケーススタディ
ここでは典型的な4ケースで、受け取れる年金の種類を整理します。あくまで一般的な例で、実際の可否は要件確認が必要です。
- ケース1:会社員の夫が死亡・30代妻+子2人:遺族基礎年金+遺族厚生年金の両方が受け取れる可能性があります。提出先は年金事務所です。
- ケース2:自営業(国民年金)の夫が死亡・妻+子1人:遺族基礎年金が中心で、提出先は市区町村です。子が18歳年度末を過ぎると支給が終わります。
- ケース3:子のいない50代の妻・会社員の夫が死亡:遺族基礎年金は対象外ですが、遺族厚生年金+中高齢寡婦加算が受け取れる場合があります。
- ケース4:子のない28歳の妻・会社員の夫が死亡:遺族厚生年金が5年間の有期給付になる場合があります。期間や金額は事前確認をおすすめします。
「故人の加入制度(厚生年金か国民年金か)」と「子の有無・年齢」で、受け取れる遺族年金と提出先が決まります。まずこの2点を確認するのが手続きの近道です。
よくある質問
最後に、遺族年金の手続きでよく検索される疑問に、結論から簡潔にお答えします。
Q1. 遺族年金はいつからもらえますか? A. 申請から審査を経て、おおむね1〜2か月後に初回が振り込まれるとされています。支給自体は死亡の翌月分からが対象です。書類がそろい次第、早めに申請しましょう。
Q2. 手続きに期限はありますか? A. 時効は原則5年とされています。5年を過ぎた分はさかのぼって受け取れないことがあるため、できるだけ早く手続きするのが安心です。
Q3. パートで働いていても遺族年金はもらえますか? A. 受け取れる可能性があります。前年の収入850万円未満(または所得655万5千円未満)が生計維持の目安とされ、一定額までは対象になり得ます。
Q4. 遺族年金に税金はかかりますか? A. 原則として非課税とされています。所得税・住民税の対象外で、確定申告でも所得には含めないのが一般的です。
Q5. 自分で手続きできますか?代理でも可能ですか? A. 本人による申請が基本ですが、委任状があれば家族などの代理も可能な場合があります。複雑なケースは社会保険労務士に相談すると安心です。
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本記事は一般的な情報の整理であり、個別の受給可否・金額を保証するものではありません。制度や金額(令和7年度時点)は改定されることがあります。正確な情報は日本年金機構・お近くの年金事務所・社会保険労務士など専門家にご確認ください。(最終確認日:2026年7月15日)




