まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
結論:タンス預金を相続したらまず何をすべきか
- 現金をその場で数えて記録する: できれば他の相続人の立ち会いのもとで枚数を数え、金額・発見場所・日付をメモして写真を残します。
- 遺産目録の「現金」欄に計上する: 相続開始日(死亡日)時点の手元現金として記載します。
- 遺産総額を基礎控除と比較する: 相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です(相続税法)。配偶者と子2人なら4,800万円になります。
- 基礎控除を超えるなら申告・納税する: 期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
- 判断に迷ったら税理士に相談する: 名義預金や直前の引き出しが絡む場合は、自己判断せず専門家に確認します。
なぜタンス預金の相続は税務署にバレるのか?

KSKシステムで収入と財産が一元管理されている
入出金履歴は約10年さかのぼって調べられる
実際の調査でも現金・預貯金の申告漏れが最多
注意
2024年7月の新紙幣発行以降も旧紙幣は使えますが、大口の両替や入金は金融機関に記録が残ります。まとまった現金の動きは、以前よりむしろ目立ちやすくなっています。
原因別の見分け方:そのお金は誰の相続財産か
| 現金・預金の状況 | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 故人の年金・給与から貯めた自宅の現金 | 相続財産 | 遺産目録に記載して申告 |
| 家族名義の口座だが原資は故人 | 名義預金として相続財産 | 残高を遺産に含める |
| 配偶者が故人の生活費から貯めた「へそくり」 | 原資が故人なら相続財産と判断されやすい | 税理士に相談 |
| 相続人自身の収入から貯めた現金 | 相続財産ではない | 通帳や給与明細で原資を証明できるようにする |
名義預金と判断される3つの基準
手元現金の金額はどう確定するか
補足
専業主婦(夫)のへそくりは実務でも争いが多いテーマです。「自分がやりくりして貯めた」つもりでも、原資が故人の収入であれば故人の財産と判断される傾向にあるとされています。
具体的な解決方法:タンス預金を正しく申告する5ステップ
- 証拠を残す: 相続人立ち会いで枚数を数え、金額・場所・日付を記録し写真を撮ります。後述の「使い込み疑惑」の予防にもなります。
- 遺産目録に計上する: 「現金 ○○円」として明記します。貸金庫や車内など自宅以外の現金も忘れずに含めます。
- 遺産分割協議に含める: 現金も協議の対象です。協議書に「現金○○円は誰が取得する」と明記し、あいまいな山分けを避けます。
- 財産全体を集計する: 不動産・預貯金・有価証券・生命保険などと合算し、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と比較します。
- 申告書に記載して納税する: 相続税申告書の第11表(相続税がかかる財産の明細書)に「現金」として記載し、10か月の期限内に申告・納税します。
ケース別の対処法:発見のタイミングで手続きが変わる
| 発見タイミング | 必要な手続き | ペナルティの目安 |
|---|---|---|
| 申告期限前 | 遺産に含めて通常どおり申告 | なし |
| 申告後〜調査連絡前 | 自主的な修正申告 | 過少申告加算税なし(延滞税のみ) |
| 調査連絡後〜調査着手前 | 修正申告 | 過少申告加算税5〜10% |
| 税務調査で指摘 | 修正申告+追徴 | 過少申告加算税10〜15% |
| 隠蔽・仮装と認定 | 追徴 | 重加算税35%(無申告は40%) |
※国税通則法に基づく2024年時点の税率とされています。別途、延滞税(年2%台〜8%台で変動)がかかります。
ケース1:申告後の遺品整理で500万円が見つかった
ケース2:相続人の一人が現金を管理して金額を明かさない
ケース3:基礎控除以下と思っていたらタンス預金で超えた
予防・再発防止のコツ:生前にできる5つの対策
- 現金は口座に戻す: 記録が残ることはデメリットではなく、遺族を税務調査から守る証拠になります。
- 財産目録・エンディングノートを作る: 現金の保管場所と金額を書いておくだけで、申告漏れと相続人間の疑心暗鬼を同時に防げます。
- 暦年贈与を活用する: 年110万円までの贈与は贈与税がかかりません。ただし令和5年度税制改正で、相続財産に加算される生前贈与の期間が相続開始前3年から7年へ段階的に延長(2024年1月1日以降の贈与から適用)されている点に注意が必要です。
- 生命保険の非課税枠を使う: 死亡保険金には500万円×法定相続人の数の非課税枠があり、現金で残すより税負担を抑えられます。
- 口座凍結対策は仮払い制度で足りる: 2019年7月施行の改正民法により、遺産分割前でも1金融機関あたり最大150万円(法定相続分の3分の1まで)を単独で払い戻せる仮払い制度があります。「葬儀費用のために現金を手元に」という理由でタンス預金を持つ必要性は下がっています。
注意
自宅の現金には税務以外のリスクもあります。盗難時の現金は火災保険で補償されないか少額にとどまることが多く、火災で焼損した紙幣は日本銀行の引換基準で「3分の2以上」残っていないと全額交換されないとされています。
専門家・公的情報はタンス預金をどう見ているか?
令和4事務年度に実地調査を行った8,196件のうち、申告漏れ等の非違があった件数は7,036件(85.8%)でした。(国税庁「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」2023年公表)
- 亡くなる前3年程度の引き出し合計と、申告された手元現金の整合性
- 配偶者・子・孫名義の口座残高(名義預金の有無)
- 自宅の金庫や貸金庫の有無(調査当日に開けて確認されることもあります)
やってはいけないNG対応4選
- 相続人だけで黙って山分けする: 申告漏れの責任は相続人全員に及びます。さらに後から「本当はもっとあったのでは」という争いの火種にもなります。
- 一部だけ申告して残りを隠す: 中途半端な申告は、かえって「隠す意図があった」ことを示す材料になり、重加算税(35〜40%)の認定につながりやすいとされています。
- 発覚を恐れて自分の口座へ入金する: 入金記録が残るため、むしろ発見の糸口になります。原資を説明できないと、贈与税の問題まで派生しかねません。
- 時効(除斥期間)まで待つ: 相続税を賦課できる期間は原則5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年とされています(国税通則法)。その間も延滞税は増え続け、悪質な事案は10年以下の懲役等の刑事罰(相続税法)の対象にもなり得ます。
注意
重加算税と延滞税を合わせると、追徴額が隠した現金の半分近くに達するケースもあります。「見つかったら払えばいい」は最も高くつく選択です。
まとめ:タンス預金は「見つけたら申告」が最も安く済む
よくある質問
タンス預金はいくらまでなら相続税の申告をしなくていいですか?
亡くなる直前に引き出したお金もタンス預金になりますか?
タンス預金の相続税に時効はありますか?
新紙幣の発行で旧紙幣のタンス預金は使えなくなりますか?
見つかったタンス預金の申告は自分でもできますか?
最終確認日: 2026年7月19日




