実家の片付けを業者に頼むとき、最初にやることは何ですか?
業者に電話する前の3分チェック
- 相続放棄の可能性はないか:故人に借金がある可能性が少しでもあるなら、財産的価値のある遺品を処分してはいけません(後述)
- 相続人全員の同意はあるか:兄弟姉妹が2人以上いるなら、処分対象と費用負担を書面にしてから発注します
- 自治体の補助金は使えるか:業者を決めてから補助金を知ると、対象外業者だったために使えないことがあります
なぜ「許可の確認」が難しいのか
その許可、実家のごみを回収できますか?【許可・資格の効力早見表】

| 掲げている許可・資格 | 家庭ごみを有料で回収できるか | 根拠法・位置づけ | 確認先 | 電話で言うべき一言 |
|---|---|---|---|---|
| ①一般廃棄物収集運搬業許可 | ○ | 廃棄物処理法(市町村長の許可) | 実家のある市区町村サイト「一般廃棄物収集運搬業 許可業者一覧」 | 「御社は◯◯市の許可業者一覧に載っていますか」 |
| ②一般廃棄物処理業者への委託(提携) | △(委託先が許可業者なら可) | 廃棄物処理法(市町村からの委託・許可業者への委託) | 同上(委託先の社名を一覧で確認) | 「委託先の業者名と許可番号を見積書に記載してください」 |
| ③産業廃棄物収集運搬業許可 | ×(家庭ごみは対象外) | 廃棄物処理法(事業系廃棄物用) | 各都道府県の産廃業者検索 | 「それは事業ごみ用ですよね。家庭ごみの根拠を教えてください」 |
| ④古物商許可 | ×(売買の許可であり回収の根拠にならない) | 古物営業法 | 各都道府県警の許可番号照会 | 「買取分以外の廃棄はどこへ運びますか」 |
| ⑤遺品整理士 | ×(民間資格。回収の可否とは無関係) | 民間資格(法的効力なし) | 認定団体サイト | 「資格ではなく許可の話をさせてください」 |
| ⑥「一般社団法人◯◯協会認定」 | ×(同上) | 民間認定(法的効力なし) | 認定団体サイト | 同上 |
| ⑦許可表示なし・無料回収トラック | ×(違法回収の疑い) | ― | ― | 依頼しない |
このセリフが返ってきたら要注意
- 「産廃の許可があるので大丈夫です」→ 事業系の許可であり、家庭ごみには使えません
- 「古物商許可を持っています」→ 中古品売買の許可であり、廃棄の根拠にはなりません
- 「今なら無料で全部引き取ります」→ 無料回収をうたう巡回業者は、環境省が繰り返し注意喚起している類型です
2段階確認の手順(所要15分)
- 実家のある市区町村サイトで「一般廃棄物収集運搬業 許可業者一覧」を開き、候補業者の社名を検索する
- 載っていれば自社許可あり。載っていなければ、業者に「委託先の事業者名と許可番号を見積書に記載してください」と依頼する
- 提示された委託先の社名を、同じ一覧でもう一度確認する
- 書面での記載を渋る、または一覧に見当たらない場合は候補から外す
国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2022年11月2日公表)によると、不用品回収サービスに関する全国の消費生活センター等への相談は2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と増加しています。一般廃棄物処理業の無許可業者とのトラブルが目立ち、作業終了後の高額請求や「クーリング・オフはできない」と記載された書面への署名を求められる事例が報告されています。
業者に電話していいのはいつ?【発注タイミング判定チャート】
Q1:相続放棄を検討している、または借金の有無が不明ですか?
Q2:相続人が2人以上いて、遺産分割協議が未了ですか?
- 処分してよい物の範囲(例:衣類・寝具・食器は処分可)
- 処分してはいけない物(貴金属・骨董・現金・通帳・権利証・写真)
- 買取が発生した場合の代金の扱い(誰が預かり、どう分けるか)
- 費用の負担割合と支払い方法
- 立ち会う人と、作業日
Q3:実家を売る予定がありますか?
Q4:相続登記は済んでいますか?
Q5:空き家バンク登録や自治体の補助金を使える可能性はありますか?
空き家を放置するコストは税でも顕在化します。2023年12月13日施行の改正空家等対策特別措置法で「管理不全空家」が新設され、市区町村から勧告を受けると住宅用地の固定資産税特例が解除され、土地の固定資産税が最大6倍になり得るとされています(増税は勧告を受けた翌年度から)。
実家の片付け 業者 費用はいくら?【3プラン総額シミュレーション】
間取り別の費用相場(比較の土台)
| 間取り | 費用相場 | 作業人数 | 作業時間 |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 3〜8万円 | 1〜2名 | 1〜2時間 |
| 1LDK | 7〜20万円 | 2〜4名 | ― |
| 2LDK | 12〜30万円 | 3〜6名 | ― |
| 3LDK | 17〜50万円 | 4〜8名 | 5〜12時間 |
| 4LDK以上 | 22〜60万円 | 4〜10名 | 6〜15時間 |
プランA:全部自分でやる
- 自治体の粗大ごみ手数料(品目×単価。1点数百円〜2,000円程度が中心)
- 家電リサイクル料金:エアコン990円+冷蔵庫171L以上4,730円+洗濯機2,530円+テレビ16型以上2,970円=11,220円
- 指定引取場所へ自分で運ぶか、収集運搬料2,000〜3,000円×4品
- 帰省交通費×往復回数n+有給消化日数の日当換算
プランB:仕分けは自分・搬出だけ業者
プランC:全部業者(遠方・立ち会い最小)
損益分岐:帰省何往復で業者が安くなるか
| 比較軸 | プランA(全部自分) | プランB(搬出のみ委託) | プランC(全部業者) |
|---|---|---|---|
| 現金支出 | 小 | 中(約17万円+帰省2往復) | 大(約27.8万円−買取) |
| 拘束日数 | 大(月1帰省なら数か月〜1年) | 中 | 小(2日程度) |
| 相続手続きの期限に間に合うか | 危うい | 条件次第 | 間に合いやすい |
自治体補助を適用した場合の再計算
家電リサイクル料金は2026年4月1日適用分で改定され、一部メーカー・品目の料金が変更されています(家電リサイクル券センターが2026年3月18日時点の変更点一覧を公表)。2026年4月以降に取得した見積もりは、旧料金表と一致しない場合があります。金額は必ず最新の料金一覧でご確認ください。
実家の片付け業者に依頼したら、当日は何が起きますか?
依頼から完了までの流れ
- 問い合わせ(候補は地元業者2社+広域1社の組み合わせが比較しやすい)
- 訪問見積もり(電話・写真だけの概算は当日に上振れしやすい典型パターン)
- 見積書の確認(作業費・車両費・処分費・オプションの内訳。「一式」だけの見積書は要注意)
- 許可の2段階確認(前述の表のとおり)
- 契約書の締結(追加料金が発生する条件を書面化)
- 作業当日:立ち会い、貴重品の確認
- 精算・引き渡し
作業前に必ず探しておくもの
- 遺言書(自筆証書遺言は、法務局の保管制度を使っていない場合、家庭裁判所の検認が必要とされています)
- 通帳・キャッシュカード・印鑑・証券口座の書類
- 不動産の権利証、固定資産税の納税通知書
- 生命保険証券、年金関係書類
- 借入・ローンの契約書(負債の把握は相続放棄の判断に直結します)
買取が同時に行われる場合は「別の契約」になる
国民生活センターの公表事例では、「クーリング・オフはできない」と記載された書面への署名を求められたケースが報告されています。書面にそう書かれていても、法の適用がそれで消えるわけではありません。判断に迷ったら、署名前に消費者ホットライン188へ相談してください。
悪質業者のトラブルは実際どれくらい起きていますか?
公表されている相談件数
| 調査主体 | 対象 | 件数 |
|---|---|---|
| 国民生活センター(2022年11月2日公表) | 不用品回収サービス | 2018年度1,354件/2019年度1,457件/2020年度1,788件/2021年度2,231件 |
| 国民生活センター(2018年7月19日公表) | 遺品整理サービスの契約トラブル | 2013年度73件/2014年度109件/2015年度90件/2016年度114件/2017年度105件 |
| 総務省行政評価局(令和2年3月報告書) | 遺品整理関連(PIO-NET登録) | 平成20年度〜平成30年5月31日で累計755件 |
「追加料金なし」の表示にも行政処分の例がある
片付け需要の背景にある数字
やってはいけない対応5選
NG1:無料回収・巡回トラックに任せる
NG2:相続放棄を検討中に家財を処分する
NG3:電話・写真だけの概算で契約する
NG4:親に無断で処分する
NG5:仏壇・位牌・写真をいきなり捨てる
相談先はどこにありますか?
| 困りごと | 相談先 | 備考 |
|---|---|---|
| 業者の高額請求・強引な契約 | 消費者ホットライン 188 | 最寄りの消費生活センターにつながります |
| 許可業者の確認・粗大ごみ | 市区町村の廃棄物担当課 | 一般廃棄物収集運搬業の許可業者一覧を管理しています |
| 相続放棄・遺産分割 | 弁護士、司法書士 | 熟慮期間3か月内は早めの相談を |
| 相続登記・住所変更登記 | 司法書士、法務局 | 相続登記は3年以内が義務 |
| 相続税・譲渡所得 | 税理士、所轄の税務署 | 3,000万円特別控除の要件確認 |
| 親の介護・認知症・成年後見 | 地域包括支援センター | 中学校区単位で設置されています |
| 空き家の活用・補助金 | 自治体の空き家担当課、空き家バンク | 業者決定前に確認してください |
よくある質問
実家の片付け 業者 費用はいくらが目安ですか?
実家の片付け業者に依頼したら、立ち会いは必要ですか?
業者が「一般廃棄物の許可を持っている」と言えば信用していいですか?
相続放棄を考えています。片付けは進めていいですか?
当日その場で買取をすすめられました。断れますか?
自治体の補助金は片付け費用に使えますか?
まとめ:業者に電話する前の3手
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。相続・税務・成年後見などの法的判断は個別の事情によって結論が変わります。実際の手続きにあたっては、弁護士・司法書士・税理士等の専門家、または自治体の窓口へご相談ください。費用相場・料金表・補助制度の内容は変更される場合があります。




