相続 手続き 流れの全7ステップ|期限の起算点と不要な手続きが分かる
実家整理の教科書相続手続き / 記事

相続 手続き 流れの全7ステップ|期限の起算点と不要な手続きが分かる

/
まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
注意

相続手続きは法律・税務(YMYL)に関わる内容です。本記事は一般的な流れをまとめたものであり、個別の事情(借金の有無・相続人の対立・不動産の評価など)によって最適な進め方は変わります。判断に迷う場面では、必ず弁護士・税理士・司法書士などの専門家にご相談ください。

相続手続きの流れ全体像|5つの質問で「やらなくていい手続き」を削る

診断チャート:5つのYes/Noで必要な手続きセットが決まる

  1. Q1:遺言書はあるか?(自宅の金庫・引き出し、公証役場、法務局の保管制度を確認)
  2. Q2:不動産はあるか?(実家・土地・マンションなど)
  3. Q3:財産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるか?(相続人3人なら4,800万円)
  4. Q4:借金が財産を上回る可能性はあるか?
  5. Q5:ネット銀行・ネット証券・暗号資産の口座はあるか?
セット該当する人必要な手続き(主な窓口)重要期限やらなくていい手続き
A遺言あり+不動産なし+基礎控除以下死亡届(市区町村)→戸籍収集→預貯金・保険の名義変更(金融機関)死亡届7日以内遺産分割協議/相続税申告/相続登記
B遺言なし+不動産なし+基礎控除以下Aに加えて遺産分割協議・協議書作成同上相続税申告/相続登記
C不動産あり+基礎控除以下Bに加えて相続登記(法務局)登記は取得を知った日から3年以内相続税申告
D基礎控除を超えるCに加えて相続税申告(税務署)+準確定申告の要否確認相続税申告10ヶ月以内・準確定申告4ヶ月以内―(フルセット)
E借金が上回る可能性あり相続放棄の申述(家庭裁判所)を最優先。遺品や預貯金に手をつけない知った時から3ヶ月以内受理後は名義変更・分割協議など大半が不要に
横スクロールできます

遺産相続手続きの流れ7ステップ|期限の早い順に進める

遺産相続手続きの流れ7ステップ|期限の早い順に進める
  1. 死亡届の提出(7日以内):死亡診断書とセットで市区町村役場へ。火葬許可証の取得もこのタイミングで、多くは葬儀社が代行してくれます。あわせて年金の受給停止・健康保険の資格喪失・世帯主変更(おおむね14日以内が目安)も進めます。
  2. 遺言書の確認・検認(なるべく早く):自筆証書遺言は勝手に開封せず家庭裁判所で検認を受けます。公正証書遺言は最寄りの公証役場で検索できます。
  3. 相続人の確定(1〜2ヶ月目安):被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めます。2024年開始の広域交付制度で大幅に短縮できるようになりました(後述の比較表で最短ルートを確認)。
  4. 財産・債務の調査(1〜3ヶ月目安):預貯金・不動産(名寄帳・固定資産評価証明)・有価証券・保険に加え、借金は信用情報機関(JICC・CIC・KSC)へ照会します。ネット銀行・暗号資産は郵便物が届かないため、専用の探し方が必要です(後述)。
  5. 相続放棄・限定承認の判断(知った時から3ヶ月以内):借金が多い場合は家庭裁判所へ。期限の起算点に注意してください(次章)。
  6. 遺産分割協議・協議書の作成:遺言がなければ相続人全員で合意し、全員が実印で押印します。一人でも欠けた協議は無効です。
  7. 名義変更・相続税の申告:預貯金の払戻し、相続登記、証券の移管を進め、基礎控除超なら10ヶ月以内に相続税を申告・納付します。銀行の払戻しは必要書類の提出後1〜3週間程度(準備を含め全体で1〜2ヶ月程度)が目安とされています。

時系列チェックリスト|7つの期限は「起算点」を間違えると危ない

期限手続き対象起算点
7日以内死亡届・火葬許可申請【全員必須】死亡の事実を知った日
14日以内(目安)年金受給停止・健康保険の資格喪失・世帯主変更【該当者のみ】死亡日(手続きにより異なる)
3ヶ月以内相続放棄・限定承認【該当者のみ】自己のために相続の開始があったことを知った時(死亡日ではない)
4ヶ月以内所得税の準確定申告【該当者のみ】(被相続人に申告すべき所得がある場合)相続の開始を知った日の翌日
10ヶ月以内相続税の申告・納付【該当者のみ】(基礎控除超・特例利用)相続の開始を知った日の翌日
1年以内遺留分侵害額請求【該当者のみ】相続開始と侵害を知った時
3年以内相続登記【不動産を取得した人】取得を知った日。2024年4月1日より前の相続分は一律2027年3月31日
横スクロールできます
  • 疎遠な親族の死亡:長年会っていなかった親や親族の死亡を数ヶ月後に知った場合、原則として「知った時」から3ヶ月です。
  • 後順位相続人への繰り上がり:先順位(子など)が全員相続放棄すると、次順位(親、さらに兄弟姉妹)に相続権が回ってきます。この場合は自分が相続人になったことを知った時が起算点で、死亡日から大きくズレることがあります。「亡くなってもう半年経つから手遅れ」と自己判断せず、まず専門家に確認してください。

戸籍収集の最短ルート3つを比較|広域交付が使えないケースに注意

①広域交付(窓口)②本籍地への郵送請求③法定相続情報一覧図+専門家委託
請求できる人配偶者・直系(子・父母など)のみ。本人が窓口へ出向く必要あり(顔写真付き本人確認書類)相続人本人のほか代理人も可司法書士等が代理で収集
取得できる書類出生〜死亡の戸籍・除籍等を1つの窓口でまとめて本籍地ごとに個別請求戸籍一式+法定相続情報一覧図の写し(法務局が無料交付)
費用の目安発行手数料のみ発行手数料+郵送費・定額小為替発行手数料+専門家報酬(事務所による)
所要日数の目安即日〜数日程度役所ごとに1〜2週間程度かかることも事務所・件数による
兄弟姉妹の相続✕ 使えない○ 使える○ 使える
向いているケース配偶者・子が平日に窓口へ行ける窓口に行けない・転籍が多い相続登記までまとめて任せたい
横スクロールできます
注意

兄弟姉妹が相続人になるケースでは広域交付が使えず、郵送請求か専門家委託の従来ルートになります。また広域交付は郵送・代理人請求に対応していないため、「平日に窓口へ行けるか」で最短ルートが変わります。

相続放棄の手続きの流れ|3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する

  1. 財産と負債の全体像を確認:信用情報機関(JICC・CIC・KSC)への開示請求で借金を洗い出します。
  2. 申述書と書類の準備・提出:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、相続放棄申述書と戸籍等を提出します。
  3. 照会書への回答:裁判所から届く照会書(質問書)に回答します。
  4. 受理通知の受領:受理されると「相続放棄申述受理通知書」が届き、はじめから相続人でなかったことになります。債権者への説明には受理証明書が使えます。
注意

放棄を検討している間は、遺品の処分・預貯金の引き出し・債務の弁済をしないでください。相続財産の処分は「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があるとされています。価値のある形見分けにも注意が必要です。

相続税の手続きの流れ|約9割は申告不要。まず課税ラインを確認

  1. 財産の評価:預貯金・不動産・有価証券・生命保険金などを評価します。同資料では相続財産のうち現金・預貯金等が34.9%と土地(30.2%)を上回っており、預貯金中心の相続でも課税ラインを超えるケースが増えています。
  2. 特例の適用判定:配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例など。特例で税額がゼロになる場合でも申告書の提出が適用条件とされている点に注意してください。
  3. 申告書の作成・提出:相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ申告・納付します。
補足

生前贈与の「持ち戻し」期間は3年から7年へ延長される税制改正が進行中です(2024年1月施行)。経過措置により2027年1月1日以降の相続から加算期間が実質的に3年を超えて延び始め、2031年以降は完全に7年になります。近年贈与を受けていた場合は、加算対象になるかを税理士に確認しましょう。

相続登記手続きの流れ|過去の相続も2027年3月31日が期限

通帳がない財産の探し方|ネット銀行・ネット証券・暗号資産の相続

  1. スマホのアプリ一覧:銀行・証券・暗号資産取引所・決済アプリを確認します(ロックが解除できない場合は無理をせず、各社サポートや専門業者に相談)。
  2. メールの検索:「取引報告書」「ログイン通知」「口座開設」などのキーワードで検索すると、契約先が浮かび上がります。
  3. 銀行・カード明細の入出金:ネット証券への振込、取引所からの入金、月額引落しから契約先を特定します。
  4. 証券口座の横断確認:証券保管振替機構(ほふり)への開示請求で、被相続人名義の証券口座の有無を確認できます。
  5. 各社の相続手続きへ:判明した口座ごとに、各社所定の相続手続き(Web・郵送)を進めます。
注意

暗号資産は、国内取引所の口座であれば各社の相続手続きで引き継げますが、個人管理のウォレットは秘密鍵が分からないと事実上取り出せないとされています。また、デジタル遺産も相続財産・相続税の課税対象であり、相続放棄の3ヶ月の判断材料にもなります。「ないと思っていた財産や負債」が後から出てくる前に、調査の初期段階で組み込んでください。

司法書士に相続手続きを依頼する流れ|専門家の使い分けと費用感

相談先主な得意分野こんなときに
司法書士相続登記・戸籍収集・書類作成不動産の名義変更がある
税理士相続税の申告基礎控除を超えそう・特例を使う
弁護士相続人間の紛争解決もめている・調停が必要
行政書士遺産分割協議書等の書類作成書類作成だけ任せたい
横スクロールできます

よくある質問(FAQ)

まとめ|「削ぎ落として、期限の早い順に」進めれば後悔しない

※本記事は2026年8月2日時点の公的情報(国税庁・法務省・政府広報オンライン・最高裁判所など)をもとに作成しています。相続に関する制度や期限は法改正により変更される可能性があります。個別の手続きについては、最新の公的情報を確認のうえ、弁護士・税理士・司法書士などの専門家にご相談ください。

関連記事

期限戸籍収集相続人調査