まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
注意
相続税は税制に関わる内容(YMYL領域)です。本記事は2026年8月時点の公表資料にもとづく一般的な情報で、個別の適用可否は事情によって異なります。実際の判断は税理士など専門家にご相談ください。
相続税とは?わかりやすく言うと「基礎控除を超えた遺産にかかる国税」
- 課税されるのは「正味の遺産額」:プラスの財産から借入金などのマイナスと葬式費用を差し引いた金額が対象です。
- 税率は超過累進:国税庁 No.4155のとおり10%〜55%の8段階(速算表方式)です。
- 期限は10か月:国税庁 No.4205により、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ申告・納税します。
基礎控除とは?相続税がいくらからかかるかを5問で判定するチャート

【相続税“3分岐”判定チャート】
| 判定 | 状態 | 申告 | 納税 |
|---|---|---|---|
| (A) 【A】≦【C】 | 基礎控除以下 | 不要 | 不要 |
| (B) 【A】>【C】だが、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を使うと税額0円 | 特例で税額ゼロ | 必要 | 不要 |
| (C) 特例を適用しても税額が残る | 課税 | 必要 | 必要 |
(B)(C)に進んだ人の第2分岐:遺産分割は終わっているか
注意
不動産の評価は本来、路線価方式または倍率方式で行います。上記の概算はあくまで「基礎控除を超えそうか」の当たりをつけるためのもので、実際の申告額とは差が出ます。境界線上と感じたら概算で止めず、税理士に確認してください。
相続税の計算は3ステップ|家族構成別シミュレーション早見表
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の取り分 | 他の相続人の取り分 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 1/2 | 子全員で1/2 |
| 配偶者と父母 | 2/3 | 父母全員で1/3 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全員で1/4 |
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
【家族構成別 相続税シミュレーション早見表(2026年版)】
| 遺産総額 | 配偶者+子1 | 配偶者+子2 | 配偶者+子3 | 子1のみ | 子2のみ | 配偶者のみ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 0<br>0 | 0<br>0 | 0<br>0 | 40<br>40 | 0<br>0 | 0<br>0 |
| 6,000万円 | 90<br>45 | 60<br>30 | 30<br>15 | 310<br>310 | 180<br>180 | 90<br>0 |
| 8,000万円 | 235<br>118 | 175<br>88 | 138<br>69 | 680<br>680 | 470<br>470 | 235<br>0 |
| 1億円 | 385<br>193 | 315<br>158 | 263<br>131 | 1,220<br>1,220 | 770<br>770 | 385<br>0 |
| 1億4,025万円<br>※申告した人の平均 | 約780<br>約390 | 約672<br>約336 | 約589<br>約295 | 約2,432<br>約2,432 | 約1,554<br>約1,554 | 約780<br>0 |
| 1.5億円 | 920<br>460 | 747<br>374 | 665<br>333 | 2,860<br>2,860 | 1,840<br>1,840 | 920<br>0 |
| 2億円 | 1,670<br>835 | 1,350<br>675 | 1,218<br>609 | 4,860<br>4,860 | 3,340<br>3,340 | 1,670<br>0 |
| 3億円 | 3,460<br>1,730 | 2,860<br>1,430 | 2,540<br>1,270 | 9,180<br>9,180 | 6,920<br>6,920 | 3,460<br>0 |
※ 遺産総額1億4,025万円の行は、国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」の被相続人1人当たりの課税価格1億4,025万円にあたります。申告した人の平均像はここです。この行の数値は前後の行から補間した概算で、他の行は基礎控除・速算表から計算した理論値です。
- 配偶者がいるかどうかで納税額が半減する:配偶者の税額軽減により、法定相続分どおりに分ければ配偶者分の税額はゼロになります。
- 「子のみ」の負担が突出して重い:配偶者がいない二次相続では軽減が使えず、遺産1億円・子1人なら1,220万円です。一次相続で配偶者に寄せすぎると、この列に着地します。
- 相続人が1人増えるごとに基礎控除が600万円増える:同じ遺産額でも人数で税額が変わります。
補足
「配偶者にすべて寄せれば今回はゼロ」でも、その配偶者が亡くなる二次相続では表の「子のみ」列に移ります。一次・二次を通算した総負担で判断するのが定石とされています。
相続税とは?不動産がある場合の考え方と小規模宅地等の特例
注意
遺産の大半が不動産だと、納税資金が足りず売却を迫られることがあります。延納(分割納付)や物納の制度もありますが、いずれも要件と手続きが必要です。不動産中心の相続では、税額の見積もりと同時に納税資金の確保を検討してください。
相続時精算課税制度とは?暦年課税との違いと2026年の改正動向
| 暦年課税 | 相続時精算課税 | |
|---|---|---|
| 非課税枠 | 年110万円(基礎控除) | 年110万円(基礎控除)+累計2,500万円(特別控除) |
| 相続財産への加算 | 相続開始前一定期間の贈与を加算 | 年110万円超の部分を加算(110万円以下は加算不要) |
| 一度選ぶと | 毎年選び直せる | 暦年課税に戻せない |
補足
相続時精算課税は年110万円の基礎控除創設で使い勝手が改善しましたが、一度選択すると暦年課税に戻せません。どちらが有利かは贈与額・期間・相続財産の規模で変わるため、選択前にシミュレーションが必要です。
税務調査とは?相続の申告後に起きることを数値で見る
| 項目(令和6事務年度) | 数値 |
|---|---|
| 実地調査件数 | 9,512件 |
| 非違があった件数(非違割合) | 7,826件(82.3%) |
| 申告漏れ課税価格の合計 | 2,942億円 |
| 追徴税額の合計 | 824億円(加算税109億円を含む) |
| 実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格 | 3,208万円 |
| 実地調査1件当たりの追徴税額 | 867万円 |
| 無申告事案1件当たりの追徴税額 | 2,187万円(調査650件・追徴142億円) |
注意
申告内容に誤りがあると、過少申告加算税・延滞税が課されます。意図的な隠蔽と判断されれば重加算税の対象です。財産が基礎控除を大きく超える、名義預金や海外資産の心当たりがある場合は、相続税を専門とする税理士への相談を検討してください。
相続税ゼロでも発生する義務|相続開始からの期限カレンダー
【相続開始からの“期限カレンダー”チェックリスト】
| 期限 | やること | やらないとどうなるか |
|---|---|---|
| 3か月 | 相続放棄・限定承認の申述(熟慮期間) | 単純承認とみなされ、借金も承継 |
| 4か月 | 被相続人の準確定申告(所得税) | 無申告加算税・延滞税 |
| 10か月 | 相続税の申告・納税(国税庁 No.4205) | 無申告加算税・延滞税、特例の適用不可 |
| 10か月 | 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例の適用には遺産分割の完了が必要 | 未分割だと特例が使えない。間に合わなければ「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出 |
| 3年以内 | 相続登記の申請(法務省・2024年4月1日施行) | 10万円以下の過料 |
| 3年10か月以内 | 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例 | 譲渡所得税が高くなる |
| 5年10か月 | 更正の請求(払いすぎた相続税の還付) | 還付を受けられない |
2026年の“先回りメモ”
- 教育資金の一括贈与の非課税措置は2026年3月31日で終了(令和8年度税制改正大綱で延長されず)
- 生前贈与加算は2027年1月2日以降の相続から7年へ段階延長(完全な7年加算は2031年1月1日以後の相続)
- 貸付用不動産の“5年ルール”は2027年1月1日以後に取得する財産の評価から適用
申告手続きの流れ|10か月で何をするか
- 相続人を確定する:被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどります。
- 遺言書の有無を確認する:遺言があれば原則その内容が優先されます。
- 財産・債務を調査する:預貯金、不動産、有価証券、借入金を洗い出し、財産目録を作ります。
- 財産を評価する:不動産は路線価方式などで評価します。ここが最も専門知識を要する部分です。
- 基礎控除と比較する:判定チャートの(A)(B)(C)のどれに当たるかを確定させます。
- 遺産分割協議を行う:特例を使うなら10か月以内の分割完了が必要です。
- 申告書を作成し、申告・納税する:被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ提出します(国税庁 No.4205)。




